魔酒PJカテゴリー3(ビール部門認定リスト)

認定魔酒名 メーカー 画像 解説
GUINNESS /DRAUGHT
認定期日:2002年12月29日
GUINNESS DRAUGHT STOUT D.さんの解説
GUINNESS ; IRISH STOUT
STOUT(いわゆる黒ビール)の代名詞。もちろんパブで楽しむのに勝るものはないが、生ギネスを楽しめる店は日本には少ない(なくはない)。今回は特に市販品として日本で入手できるもののうち、440MLのロング缶"GUINNESS DRAUGHT"に限定したい(実売価格490円前後/本)。1759年以来アイルランドの首都ダブリンのど真ん中に工場を構えるギネス・ファクトリーは黒ビールの代表格にとどまらず、アイルランドという独特の国そのものの代名詞といっても過言ではない。独自のロースト方法と世界で初めてのイースト使用による、特徴的な濃褐色(正確には「黒」ではない)とクリーミーでキメの細かい泡、深く苦みの強い、それでいて甘みを持つ独特の味わいは常に多くの人々を魅了し続けている。もし日本風の苦くて冷たくて炭酸の強いビールをあまり好きでないとしても、このビールは問題なく好きになれるかもしれない。そのくらい、この味わいは独特のものを持ち合わせている。特にアイルランド移民の多いアメリカ、オーストラリア、およびEU周辺諸国では("RIVERDANCE"の爆発的ヒットを見てもわかるように)ルーツへの郷愁はひときわ強く、その中にもちろんこのGUINNESSも含まれている。海外への輸出の歴史も長く、1800年代初頭にはすでに海外への輸出が行われていたという。しかし海外に輸出されるGUINNESSは長年にわたり、"FOREIGN EXTRA STOUT"と呼ばれる、いわゆるパブで飲まれる生ギネスとは異なるものであった。味も不自然に濃く、アルコール度数も強く、なによりあのクリーミーな泡を楽しむことは不可能であった(日本の居酒屋でもたまに見かける)。その後輸送技術の発展により、生に近い味わいの"GUINNESS DRAUGHT"が発売され流通するようになったが、泡の問題だけは長らく解決されなかった。この問題を打ち破る画期的な技術が、1989年に発売を開始した"GUINNESS DRAUGHT"のロング缶である。これは窒素封入カプセルを缶の中に置くことでそのクリーミーな泡を再現する技術であり、世界中のギネス・ファンから喝采をもって迎えられた。これにより、家庭で楽しむことのできるギネスはかなりパブにおけるそれに近づいたとも言えよう。缶には詳細にその注ぎ方が説明されており、1)4℃に冷やし、2)プルタブをあけて数秒待ち、3)グラスに注いで30秒待て、とある。この3)がポイントで、あの細かい泡はゆっくりと液体部分から上に昇ってくるものであり、我々は指をくわえてその様を見ていなくてはならない。なおこれは生ギネスにおける場合も同様で、パブでは注いでから2分程度待たされることが多い。アイルランドの国の独特の歴史と、世界に散らばったアイリッシュたちのそれぞれの苦難の歴史、そしてそこから生まれる故国への渇望。このギネスはそんな思いをいっぱいに込めた名作である。推薦者の思い入れを少し。22歳の頃、観光でロンドンに滞在中にいわゆる黒ビールの魅力を知り、また同時に"RIVERDANCE"を知ることでアイリッシュへの憧憬を強めていった("RIVERDANCE"に関してはその後、1999年に初の日本公演と、ベルリン公演を楽しむことができた)。大学卒業時にはアイルランドに渡航する機会を得て、ダブリンやコークやその他の街をRoly Galagherの足跡をたどるように旅した。いずれの街々にもGUINNESSとその他何種類かのSTOUT、ALE、LAGER(←この辺の区別はリーダーSHIN先生にお任せするが)のサーバーが用意されていた。価格も様々であり、ダブリンの中心街ではGUINNESS1パイントが500円前後だったが、大西洋に面した最果ての街キラーニーの、マンチェスターUファンの集まる汚いパブでは250円以下であった。しかし何よりすばらしい経験であったのは、ダブリンの中心にあるギネス・ファクトリーの見学であった。ここは600円前後で全行程を見学できる上に、最後に1パイントただで飲ませてくれる。ここでの1杯は今までの短い生涯の中でもっとも美味いビールだった!私がGUINNESSについて質問すると、ダブリンの郊外で宿泊したB&Bの気のいいオヤヂはアイリッシュ訛りでこう言った;「アイリッシュの男はみなパブへ行くが、飲むもんは意外と様々や。4分の1がGUINNESSなどのSTOUT、4分の1がジンその他のスピリッツ、残りはALEやLAGERなど(つまりその他のビール)を飲んどる。ま、ほんまもんの男というのはGUINNESSを飲むもんや。もちろん俺も必ずGUINNESSやけどな」